フランスのブルターニュ地方から” 磯の薫り” を届けてくれた2つ星シェフ、パトリック・ジェフロアさん。彼のぶれない料理コンセプト、緻密に計算された料理の手順、ノーブルな食材をできる限りそのままの状態で食べてもらおうと、その技術力には圧倒され続けました。今回のテーマでもあった「山の食材・海の食材」をミックスさせて完成させる一皿、それはただ単に異なる食材を皿に並べることではなく、もっともっとフランス料理の根本の部分であるフォン(出汁)やソースにも完結されていました。

彼がはじめて来日した時——かれこれ20年前に遡りますが、懐石料理を味わった時のこと、日本料理では魚の骨を焼いて、それにお出汁を入れてうまみ成分を抽出する方法を自分の舌の上で学んだこと。それ以来、魚とのかかわり方が変わったといいます。今回も魚とアニヨーの骨に焼き色を付けてジェフロアさん独自のオリジナルソースを披露してくれました。そのお味は間違いなくお客様を唸らせました。一皿・一皿に味わい深いソースでメニューを完成させてくれたジェフロアシェフ。古典的フランス料理の基本はきちんと押さえながらも、故郷のブルターニュの味を常に意識し、また大好きな日本料理にも言及したジェフロア・シェフ。「フランス料理の王道」とは、まさにこんなお料理なのだということを感じさせてくれた4日間でした。ジェフロア・シェフ、ありがとう!